掲載新聞 2004年8月20日 「ルポルタージュ・在日&在外コリアン」
2004年8月20日 「ルポルタージュ・在日&在外コリアン」 2004年8月20日 「ルポルタージュ・在日&在外コリアン」

カン・スボン
1948年、大阪市生まれ。92年、コリア文化ホール開設。94年、コリアボランティア協会と改称。98年、毎日新聞社から震災ボランティア支援対象団体に認定。
2003年、大阪弁護士会の第2回人権賞受賞。書道家として、ルーブル美術館「日仏美術博」で美学探究賞。04年、「バリアフリー福祉貢献作家・名誉審査員に就任。

康秀峰さん
コリアボランティア協会代表

差別をなくすには愛しかない
国境やハンディを超え
高齢者や障害者の無償ケアに尽力


 「差別をなくすには、愛しかありません。戦いは人を傷つける。人間には武器の10倍の愛が必要なんです」
 常に愛の大切さを訴える康秀峰(カンスボン)さん(54)が設立したコリアボランティア協会は、1月に大阪弁護士会の第2回人権賞を受賞した。国境やハンディを超え、高齢者や障害者の無償ケアに尽力した功績が称えられたからである。
 大阪朝鮮高級学校卒業後、職を転々。弟の身に技術をつけさせようと、一緒に書道を習い始めた。メキメキと上達し、72年には書道教室を開いた。すると子どもだけでなく、身体や精神に悩みを持つ人々など150人も集まり、教室はみんなの憩いの場となった。
 92年、同胞企業家がマンションの一室を提供してくれたのを機に、コリア文化ホールをオープンした。
 「同胞は歴史的に差別を受けてきましたが、だからこそコリアンと日本人がお互いに助け合うボランティアが必要だと思ったんです。それに祖国が分断しているなかで、福祉は日本での南北統一を実現することができますし」
 民族や立場の差を超えた多くの人々が寄ってきた。94年にはコリアボランティア協会と改称し、幅広い福祉活動を進めていく。
 彼の熱い想いは、翌95年に阪神・淡路大震災が発生して以後、より広範な人々の胸に伝播していく。
 協会は被災地での炊き出しや訪問介護などに献身的に奉仕した。お年寄りを励ますため、子どもたちの文通支援も試みた。全国から寄せられた1000通もの便りを3冊の文集にまとめ、2万部を配布した。康さん自身も被災者の求めに応じて、「灯」「希望」などの書を2000点以上書き続けた。「これで被災者の自殺を思いとどまらせることができればと、何度も徹夜した」という。
 歳月が流れ、大半のボランティア活動が消えたいまも、協会は訪問介護を続けている。98年には毎日新聞社から震災ボランティア支援対象10団体の1つに認定された。
 99年、韓国・安山工科大学の社会福祉研究会と姉妹結縁。相互訪問を継続し、110台の車椅子を贈呈した。
 登録ボランティアは黒柳徹子さんなどの有名タレントも含め5000人を超えた。日本や韓国でマスコミの取材が相次ぎ、活動は一層拡大していった。
 ところが2000年に入り、思わぬ事態に直面した。部屋の提供者だった企業が倒産し、立ち退きを求められたのだ。近くのワンルームに移転したが、康さんはすでに貯金を使い果たしており、財政危機に陥った。追い打ちをかけるように、弟が他界。康さんも持病が悪化し、自宅療養を余儀なくされた。
 それでもスタッフたちはカンパや物品販売をしながら、懸命な努力を注ぐ。いや、むしろ逆境を乗り越え、新たな拠点とするセンターの設立を目標に全力を尽くしている。
 現在、専従は5人(ほとんど無償)、登録会員は8600人にのぼる(うち日本人8割)。人権賞の受賞を契機に企業や団体からの協力も増え、「来年こそはセンター設立を」と夢を膨らませる。
 一方、康さんの書は、世界的権威のあるユニバーサル・デザール誌日本版に2点掲載されたほか、推薦により今夏、ルーブル美術館に展示され、コンクールに出品されることになった。
 康さんには、一粒種の息子がいる。「名前は“希望”の“希”と“奉仕”の“奉”をとって“希奉(フィボン)”。この子は、何万人の人々を助けるために奉仕する人間に育てたい」
 すべてを福祉に捧げる康さんたちの活動に多くの賛同者が物心両面の協力を寄せられることを切に訴えたいと思う。
※連絡先 06/6717/7301。ホームページ=。支援金の宛先=郵便振替00920-6-29408 コリアボランティア協会。
★付記
康秀峰さんは03年7月、ルーブル美術館「日仏現代美術博」で「美学探究賞」、ウィーン造形美術アカデミー「新世紀宮廷芸術祭」で「オーストリア・日本文化交流貢献賞」。03年10月、美術誌「ユニヴェールデザール」主催「芸術競技会」で金メダル。04年、バリアフリーアート・プロジェクトISSAIの「バリアフリー福祉貢献作家・名誉審査員」に就任。

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