掲載新聞 2000年11月14日(火)朝日新聞
2000年11月14日(火)朝日新聞 奉仕活動の拠点作りを

 最近、生野区の民間ボランティア「コリアボランティア協会」の「緊急避難所」を訪れて胸が詰まった。以前、よく訪れていた事務所は約百平方メートルの広さがあったが、「緊急避難所」はその約五分の一。事務機器に埋もれ、在日朝鮮人二世の康秀峰(カンスボン)代表らは寂しそうに座っていた。
 同協会はこの秋、活動拠点の事務所を失った。不況の影響で、無償で貸してくれていた事務所オーナーが突然交代し、立ち退きを迫られたためだ。なんとか近くに小さな空き店舗を見つけ、「緊急避難所」とした。
 同協会は六年前、在日韓国・朝鮮人、日本人の手で結成された。専従スタッフ九人に、多くの若者がボランティアとして参加。生野区を中心に、主に障害者や高齢者約三百人の介護ボランティアをしている。阪神大震災後は週二回、神戸まで出向き、被災高齢者の生活相談なども続けてきた。活動を中断すると健康を損ねる人もでてくる。安定した拠点づくりは急務だ。
 そこで、康さんは、思いきった構想を打ち出した。五階建てのボランティアセンターを建設しよう、というのだ。そこには障害者や高齢者、ボランティアらが多目的に集うことができるホールや、二十四時間体制で障害者らの生活相談を受け付けるボランティアの詰め所などを設けたい、と夢はふくらむ。
 構想の実現には一億円以上が必要。大半はカンパが便りだが、不況の影響で先行きは見えない。だが、康さんは「逃げ場のない弱者のためにも、都会のオアシスは必要。彼らのためにも、今のような“ボランティア難民”から脱却しなければ」という。
 同協会は発足時から「民族、国境、ハンディをこえて」を合言葉にしてきた。あらゆる差別と闘ってきた康代表の生き方そのものである。きっと今度も「ハンディ」にうち勝てる、と信じたい。
同協会の「緊急避難所」は生野区勝山北三丁目で、電話は(6717・7301)。
(幸)

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