掲載新聞 2000年11月1日(水)不登校新聞
2000年11月1日(水)不登校新聞

市民グループ ア・ラ・カルト
コリアボランティア協会
灯を絶やさないで!
緊急カンパ募集
愛は武器をも溶かす


 24時間体制で障害者や高齢者の介護に無償で取り組む「コリアボランティア協会」は1994年、大阪市生野区に設立された。在日朝鮮人2世で著名な書道家の康秀峰さん(52)が代表を務める。おたがいにちがいを認め、国境・民族・ハンディを越えて、ともに生きる社会を求めて活動している。
 高齢者や障害者の日常の生活介護(食事・入浴・トイレ・その他すべて)や、通院・外出など社会参加のための介助活動をおもに行っている。障害児とその家族の社会参加のためのレクリエーション、南アフリカや北朝鮮の孤児救済、トルコ・台湾・韓国の災害支援、海外を含むボランティアのネットワークづくりなども行っている。
 在日韓国・朝鮮人の高齢者には、無年金者が多い。国民年金の加入者が、1982年まで日本国籍を持つ人に限られたからだ。今年始まった介護保険制度でも、認定申請をしない人が多い。外国人登録で指紋押捺を強制された経験から役所に出向くこと自体や、文字が理解できないことから頻繁な手続きなどに、抵抗があるからだという。
 「福祉のあるべき姿を民衆の場から示したい」という康さんの願いは、多くの人間の心を動かした。事務所とは別に新たな一室を借りて、そこで介護保険に漏れ、家に閉じこもりがちにならざるを得ない高齢者らが気軽に集い、学校帰りの子どもや障害者などと一緒にだんらんのときを過ごしてもらう「憩いのマダン(憩いの場)」を今年6月から発足させる運びとなっていた。ところが、目前になって不況で突然オーナーが交代し、立ち退きを迫られることになった。
 以来、実働スタッフ8人をはじえmとする多くの支援者らで、街頭や一軒一軒の訪問で緊急に移転カンパを呼びかけるほか、行政にボランティア活動に対する制度的保証も訴えるなど、八方手を尽くし、1日3万円の違約金を支払いながら、9月25日まで立ち退き期限をのばしてきたが、期限切れを迎えた。やむなく7坪の「避難所」をおさえ、最低限の事務機器だけは移動させることができたが、この狭さでは、以前のような「センター」としての機能は失われた。
 24時間、事務所に寝泊まりしながらボランティアをしている鄭成光(チョンソンガン)さん(25)は、3歳のころに両親が離婚し、在日朝鮮人1世の祖母に引き取られた経験をもつ。「みんなの弁当にエビフライが入っている時代に、僕は食べるものにも困っていた」と言う。小学生のころに「万引きや窃盗など悪いことは一通り」やった。小6のころ、代表の康さんに出会った。康さんの自宅は書道教室を開いており、夜遅くまでいろんな人が集まる場所になっていた。そこで鄭さんは家族同然として育った。
 差別してきた筈である日本人の高齢者や障害者にも分け隔てなく対応する同協会に、在日朝鮮・韓国人のなかには根強い反発もあった。しかし、それらの意見に対し、「困っている人に北も南もない」という康さんの信念と行動が鄭さんの生き方を決定づけたという。
 もう1人のスタッフ山田友里さん(19)は、「高校まではクラスの女の子のどのグループにも属さず、1人で勝手に行動するタイプ」で、ボランティアにまったく興味がなく、高校卒業後はメイクの仕事を志していた。つき合っていた康さんの息子さんから「人間のつながりをもっと勉強しては」と進められ、スタッフとして関わり始めた。以来「人間関係の密度が明らかに濃くなった」と語る。
 同協会は1995年に起きた阪神・淡路大震災で、いち早く現地へ駆けつけ、ながらく国内でも分断していた朝鮮半島南側の民団(在日日本大韓民国民団)と、北側の朝鮮総連(在日朝鮮人総合連絡会)といっしょに炊き出しをし「南北統一」を先駆けて実現したことでも知られる。その後も、多くの老人が孤独に自殺した。行政が新築した復興住宅を訪問し、中学生の文通の橋渡しをするという活動を未だ続けている。
 福祉とは何か? 先日、脳卒中の後遺症で障害をもつお年寄りからこんな話を聞いた。いま、障害者やお年寄りが待ちへ出かけやすくすべく道路などの障壁をなくす「バリアフリー」という言葉が、巷で流行っている。自治体レベルで、それに税金を費やすことのみで「福祉の町」を自負している市町村を数多く見かけるようになった。しかし、その多くは人間と人間を結びながら?を解決していくという?の本来のソフト面を軽視する?にあるのではないかと、その老人は伏し目がちに語っていた。
 至るところからニーズを感知っっする敏感なセンサーから築かれた同協会に、行政は学ぶべきだろう。それができなければ、補助金を出して委託支援をやってしかるべきくらいの過去と現実が、21世紀を目前にゴロゴロ転がっている。
 【大阪編集局・福村】

● 灯を絶やさないで!
 ニーズが拡大する一方で財政が完全に話しをついたという同協会へのカンパを緊急に募集している。郵便振替00920−6−29408「コリアボランティア協会」へ。
 連絡先は06・6717・7301(同協会)

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