掲載新聞 2000年8月26日(土)毎日新聞 夕刊
2000年8月26日(土)毎日新聞 夕刊 さざなみ
在日コリアンC
微妙な影落とす南北問題


 康さんは、ボランティアに国籍や民族の違いは関係ないと考えている。しかし、現実はなかなか…。例えば、康さんが代表をつとめるコリアボランティア協会を朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)系の団体とみる人がいる。理由は彼が朝鮮籍だから。協会が定期的に北朝鮮へ食料支援キャンペーンをしていることもあるかもしれない。
 5年前に在阪の韓国人の若手実業家らが親ぼく団体を作った。趣旨には「将来的には北朝鮮系の青年組織も含めた(中略)各国の青年団体の連合組織としていく」とある。毎年、講演会を開いており、コ協会は2回目、主催団体に加わった。しかし、予定されていた協会代表のあいさつは、急きょ取り消された。3回目からは声がかからなくなった。「南北対話も本国の動きをにらんで」といった政治的な判断が働いたとみられる。南北問題はまだ微妙のようだ。
 そういうこともあって康さんはコ協会が、日本の役所や在日の諸問題と折衝するときは、代理を立てている。日本人の山田裕子さん(50)。
 長男が小さい時に自閉症になり、施設に通った。そして康さんに書道を習わせたのが縁で、ボランティアを手伝うことになった。康さんとは互いに身内に障害者がいる共通点もあり、共鳴し合うことが多かった。障害児の親の会を作り、組織運営の経験もあった。
 けれども代表代理を頼まれたとき当初はやはり、二の足を踏んだ。在日や南北問題の知識がまったくなかったら。友人からも断るよう忠告された。しかし、「それがかえっていい。白紙で先入観や偏見がないから。ぜひ」と康さんに説得された。
 期待通り、山田さんは在日の南北双方の団体とも太いパイプを築いた。ワンコリアフェスティバルなど協会が関係する行事の打ち合わせはすべて彼女がしている。「日本が宣そう中、半島でどんなことをしてきたか、少しは勉強もした。日本人として南と北の人に少しでも役立つことができたら」と、最近は思うようになった。
【前田 隆司】
=この項、おわり

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