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タウン異聞録 コリア文化ホール 国超えた楽しいオアシス 人口約十二万人のうち、約四万人が在日韓国・朝鮮人という、大阪市生野区に半年前、小さなフリースペースが誕生した。「コリア文化ホール」。地元へのボランティア活動を進めるうちに、全国各地にもボランティアを派遣するまでになった。心身障害の人、差別に苦しむ人とともに力強く歩み続ける小さなホールには、今日もさまざまな人たちが集まってくる。 昨年春、地元で事業をする会社社長が「今までやってこれたお礼として、生野の街に何かしたい」と、地元でボランティア活動を続けていた康秀峰(カン・スボン)さん(四四)に申し出た。 康さんは書道を教えながら、悩みの相談にも応じている。会社社長の協力に、さっそく「第二書道教室」の開館を決意。この話に康さんを慕う人が集まったのが「コリア文化ホール」になった。 「人と人は、十のうち一つでも共通点があれば愛が生まれる。その最低限の共通点は人間だ、ということ」 康さんは「これがボランティアの原点です」という。生野区内には障害者らが働く共同作業所も多く。ボランティア活動は生まれ育ったこの街への恩返しの意味もあるという。 集まった三百人ほどのボランティアは、大阪だけでなく、奈良や神戸から仕事の合間をぬって駆けつけた人たちだ。請われれば気軽に、ボランティア派遣を引き受ける。 「現代人は企業社会の中で、ストレスを発散できずにいる。人との触れ合いは、カタルシスとしてボランティアをする側の役にも立つのです」というのは、ボランティア講師の斎藤一郎さん(三三)。 斎藤さん自身も五年前に悩みを持ち、康さんの懐に飛び込んだ一人。今はリーダー的存在として、区内の病院で働きながら活動を続け、派遣ボランティアとして、沖縄まで行ったことも。 またホールでは、在日韓国・朝鮮人の人権を守る会が、ハングル手話を普及させようと活動を始めた。法廷などで意思疎通に困っている同胞の姿を見て、昨年九月から、月一回「手話教室」を開催している。いまでは一般だけでなく、府下の各大学からも受講生が集まる盛況ぶりで、ハングル手話を通じて交流の輪が広がっている。 大阪市に住む大阪大学二年生の金明善さん(二一)は昨年末、友人に誘われて同ホールを訪問したのがきっかけで、顔を出すようになった。「いずれはボランティアもやってみたい」という。 金さんが「友達に楽しい所や、と言われて来てみたら康先生がいた。自発的に先生と呼べる人に初めて会った」というと、すかさず「ほんまかー、今の」と康さんが笑う。家庭的な雰囲気もこのホールの魅力だ。 大都会という、砂漠の中の楽しいオアシス。だからここでは、在日も日本人も関係ない。 「困っている人、苦しんでいる人に『生野の文化ホールがある』。そう思ってもらえれば、協力は惜しみません」 康さんの力強い言葉が返ってきた。 |
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