1999年1月 広報いくの


この道ひと筋
わがまちのほまれ

民族・国籍を越えて
ボランティア活動を広げる康秀峰(カンスボン)さん

 マンション2階のコリアボランティア協会の窓には「民族、国境、ハンディも越えて共に生きる社会をめざして」と康さんの思いが書かれています。温かい空気が漂う事務所では、スタッフの人たちが電話応対、文集作り、スケジュール調整などで忙しく活動しています。
 「愛は人を育て、すべてを包み、互いに認め合う心を育てる」と語る康さんには、書道家としての顔とボランティア活動をしている愛と包容力に満ちた二つの顔があります。

二人の恩人

 康さんは、7歳の頃、目が不自由だった家主さんの話し相手をするうちに、お年寄りの心の寂しさを知り、また同じ頃、足が不自由な弟の世話をするなかで、身体障害者の苦しさを知りました。「二人から心の勉強をし、意識せず自然にボランティアをするようになり45年間続けてこられました。私の恩人です」といわれます。

他人の悲しみや苦しみが分かる人間になりたい

 16歳の時、リウマチを患い、激痛に見舞われます。本人にしかわからない痛みは、「怠け者」と見られたりもして、心身ともにとても辛いのを身をもって知りました。
 心や体にハンディを持っている人たちを助けていこうと、18歳の時には少年院、孤児院を出えt、社会や家庭からも見放された少年達と共に生活し働き、彼等の自立の手助けをします。「多い時は、3帖1間に6人寝ましたね」と当時を懐かしがられます。

書道家の道へ

 26歳の頃、足が不自由な弟に手に職をと一緒に書道教室に通った康さんは、書道でも頭角を現し、書道家への道にも進み、高麗書芸展最優秀賞など数々の賞を受賞します。
 午前はボランティア活動、午後は書道教室と忙しいけれど、やり甲斐のある日々を送りました。

本格的にボランティアを

 44歳の頃、マンションの一室を無償で提供を受け、書道教室、ハングル手話、民族料理教室を開いたり、生活に苦しい人や障害者、地方からの出稼ぎの人たちの相談に応じるなど、ボランティア活動に本格的に取り組んでいきます。そして、46歳で全国約300の団体・個人からの賛同を得て、コリアボランティア協会を設立します。
 高齢者や障害者の介護や自立支援が活動の中心。全国にネットワークを広げて、現在8人の専従スタッフと約5000人の登録者がおり、午前10時から午後7時まで活動しています。
 阪神淡路大震災後の仮設住宅での炊き出しや家庭訪問、仮設住宅を出た人たちとの交流、チャリティ美術展、被災地のお年寄りと中学生の文通呼びかけが今も続けられています。また、被災地での支援をもっと強めるために、「長田出張所」を開設し、被災者の皆さんの心の痛みを支えています。
 「生野区は優しい心があふれています。これからは、教育分野でもボランティア活動はとりくまれていくと思います。日本人100人、コリアン10人、計110人の専従スタッフを育てることが私の夢。また、いつの日か生野区のコリアタウンが日本の名所になればいいですね」と。
 人を愛し、生野区を愛し、ボランティア活動に精力的にとりくむ康さんの夢は限りなく続きます。

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