掲載新聞 1997年4月27日 朝日中学生ウィークリー
1997年4月27日 朝日中学生ウィークリー

神戸のお年寄りに手紙のホットライン
中学生ニュース
大阪府松原市立松原第三中
「文通サークル」
全国に参加者を募る動きも


 大阪の中学生グループが阪神大震災の被災地、神戸の仮設住宅で暮らすお年寄りらと、昨年九月から手紙による交流を続けている。震災で受けた心身の傷や孤立に耐えているお年寄りにとって、孫のような中学生から届く手紙は宝物。中学生も「喜んでもらえることで、自分も支えられている」と話す。中学生とお年寄りたちの縁結びをしたボランティア団体は、心の支援の輪をさらに広げるため、全国の小中学生に「被災地のお年寄りに励ましの手紙を書いて」と呼びかけを始めた。
(佐々木 潤平)

「祖父母がいるみたい」
手応えが書く励みに


 文通を続けているのは、松原市立松原第三中学の有志でつくる「文通サークル」の三十人で、いずれも三年生の女子生徒。二年生だった昨年の七月、社会学習の時間に数人が市民グループ「コリアボランティア協会」(事務局・大阪市生野区)に話を聞きに行き、「神戸の仮設住宅を訪問しませんか」と持ちかけられたのがきっかけだった。
 夏休みを利用して約五十人の生徒が、最も大きな被害を受けた地区の一つである神戸市長田区の「西代仮設住宅」を慰問。コリアボランティア協会のメンバーと一緒に掃除を手伝ったり、お年寄りの話し相手になったりした。
 文通サークルの顧問を務める松原第三中の山田和美先生は「子どもたちの訪問を被災者のみなさんがすごく喜んでくださったので、夏休み中は毎週、有志で参加させてもらいました。夏休みだけで交流を終わらせては惜しいという生徒の声から、文通を思いついたのです」と話す。
 西代仮設住宅の全戸(二百四十八戸)に、「文通してください」とのメッセージ文を配ると、三十二人が快諾してくれた。大半は一人暮らしのお年寄りだった。手紙の交換が始まったのは九月から。
 自己紹介、学校生活のこと、友達や家族のこと…。相手の近況や健康状態を問い、励ます気づかいも生徒たちは忘れない。
 「平均して月に二、三回のペース。お年寄りの名かには、体が不自由で読み書きが思うようにできない人も多く、返事があまりもらえない子もいます。でも、子どもたちは心が通じ合っていることを知っています」と山田先生。
 メンバーの一人、高橋優さんの相手は、一人暮らしの六十八歳のおばあさん、返事はほとんど来ないが、週に一、二回は手紙を欠かさない。「祖父母がいない私にとって、本当のおばあさんのような存在。おっとりしていて、とてもやさしい人」と話す。そのおばあさんが、去年の暮れからパーキンソン病のため市内の病院に入院した。見舞いに行くたび、おばあさんは高橋さんの手を握り、感謝の言葉を口にするという。「必要とされることで、私の方が支えられているのを感じる」と高橋さん。
 西代仮設の入居者の一人で、手紙の代読や代筆もしている西尾政三さんは「手紙を読んでる間だけ、お年寄りの顔のシワが伸びるんや。手紙のことは、よく話題にものぼる」という。
 震災直後から被災地で救援活動を展開しているコリアボランティア協会では、こうした手紙によるお年寄りの心の支援によるお年寄りの心の支援の輪を全国に広げたいと考えている。
 同協会の鄭炳熏(チョン・ビョンフン)さんは「孫のような世代の小学生、中学生のみなさんから一通の手紙が、お年寄りの心の支えになります。返事を書いてもらうのは現状では無理ですが、機会をみて文通の橋渡しや対面の場を設定することも考えたい」。
 手紙は同協会が被災地のお年寄りに手渡し、代読もする。目標は一万通で、いつでも受け付けている。

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