掲載新聞 1996年9月23日(月)朝日新聞
1996年9月23日(月)朝日新聞 インタビュー
コリアボランティア協会 代表 康秀峰さん(48)


 「国籍と民族を超える」が口癖だ。障害者や高齢者の無償介護を目指して二年半前、「コリアボランティア協会」を大阪で旗揚げした。阪神大震災後、活動の中心は被災者支援に。十カ国のボランティア登録者二千三百人に支えられ、活動に熱が入る。
◆ 在日朝鮮人二世ですね。
 「六人兄弟姉妹の三男。父親は僕がもの心ついたころには家にいなかった。母がぼろぎれを集める仕事をしながら、育ててくれましてん」
 「四歳歳下の弟が足に障害があって、ずっと世話をしてきた。本格的にボランティアを始めたのは十八歳のころ。学校の先生をどついたりした高校生、ヤクザから更正した青年、覚せい剤やシンナー中毒の人。そんな人たちと自宅で一緒に生活しながら立ち直るのを待った」
◆ 震災後、大変でした?
 「ああいうときにボランティアするのは、まあ当たり前やわね。震災二日後に炊き出しや食料品の輸送を始め、いまは週三回、神戸の西宮や仮設住宅、待機所に専従スタッフ、ボランティアが通っています。お年寄りのマッサージ、住宅の掃除から病人の入退院の世話、生活相談まで何でも屋です」
◆ お金もかかりますね。
 「『お金と愛とどっちが勝か? 三年辛抱したら、愛が勝つ』って、十一人いる専従スタッフによく言うんやけど、実際のところは火の車。貯金九百万円を活動費に使ってしもてね。月五万円やった専従スタッフの給料は、八月から一万円。震災支援とは別に大阪や京都、奈良などで障害者や高齢者の介護も続けてますしね。みんなよくやってくれます」
◆ なぜ、ボランティアを続けるのですか。
 「子どものころから、『朝鮮人や』と、よく差別されてきました。でも、今の時代にね、虐げられた人間が、じっとしとっても何も変わらん。やられたらやり返せでもない。怒りを愛に変えんと、自分の魂も相手の魂も救えんのやと思った」
 「二年ほど前、難病のおばあさんの介護を頼んできた人から『韓国・朝鮮人は家の中に入ってもらったら困る』と言われ、さすがに腹が立って二日ぐらい寝られんかったけど、今もボランティアを送っています。コリアによるコリアのための活動とよく間違えられるけれど、ボランティアをする人もボランティアに行く先も七、八割は日本人です」
◆ 被災者支援から一年八月。これからは?
 「高齢者を中心に、被災者の生活は大変です。僕らがすることはまだまだ多い。そのために、神戸市長田区にスタッフが常駐できる出張所をつくりたい。雨露をしのげたら、コンテナでも何でもいい。どなたか無償提供してくれる人いませんか」
 震災前、本職の書道教室の生徒は約百五十人。ボランティア活動に時間と体力を割き、今は十分の一に。資金源をほぼ断たれ、「あっぷあっぷの毎日です」と話す。
 カンパの申し込み先は、「コリアボランティア協会 康秀峰」名義で郵便振替00920・6・29408。協会の連絡先は、06・717・7301。
 (聞き手 渡辺 正則)

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