掲載新聞 1996年3月4日(月)日刊スポーツ
1996年3月4日(月)日刊スポーツ 震災余波
コリアボランティア協会がピンチ


 大阪・生野区の「コリアボランティア協会」は、地元の生野区を拠点に、障害者やお年寄りの在宅敬語などの活動を続けている民間ボランティア団体だ。代表の康秀峰(カン・スボン)さんともども、私の主宰している「窓友会」の会員さんでもある。
 名前だけ聞けば、一見、在日コリアンのグループを連想するかもしれないが、スタッフは、在日コリアンも日本人もいて、対象の多くは日本人である。
 昨年一月の阪神大震災では、発生二日目から被災地の支援に入り、いまも、神戸市長田区などの仮説住宅で、在宅訪問介護などを続けている。
 代表の康さんは、生野区生まれの在日朝鮮人二世で、著名な書道家でもある。四つ下の弟さんが生まれつき足に障害をもっていて、物心ついたときには、弟さんの介護は康さんの役目だった。康さん自身も、十六歳のときリウマチにかかり、厳しい闘病生活を送っている。そんなこともあって、康さんは、若いころから、障害児や問題児といわれる少年を自宅に預かり、共同生活を送ったりしてきたそうだ。
 そんな康さんが、国籍、民族の壁を越えて、さらに障害者と健常者の共生をめざして「コリアボランティア協会」を設立したのは一昨年の一げつだった。
 康さんも、日本社会のなかで、さまざまな差別を受けてきた一人だ。しかし、福祉はすべてを越えた人間としての課題。だからこそ、日本で立ち遅れている福祉の中で大きな力であるボランティアで、同胞の後輩たちを育て、地域に根ざした活動を続け、そして、日本人の理解者を広げよう、という思いがあった。
 ボランティア登録者百六十人でスタートした「コリアボランティア協会」だが、いまでは千三百人余りになった。震災救援の活動が増加したのと同時に、地元の人たちの介護の要請も増えている。入浴の世話から通院の付き添いまで、二十四時間、要請に応えられるよう、専従スタッフを三人から八人に増やし、若いスタッフは事務所に寝泊まりして活動を続けている。
 活動は、もちろんすべて無償だから、問題は経費。これまで全国からのカンパや、康さんの書道教室の収入などでまかなってきたが、赤字つづきで、康さんの貯金を切り崩しているのが実状だった。
 それが、震災以後、経費が激増し、現在、スタッフの給料は月一万がやっとという大ピンチで、このままでは存続が危ぶまれるという。
 「障害者の世話だけはどうしても続けたい」という康さんに、とりあえず、窓友会の会員さんたちが寄せてくれる「地の塩」基金から、カンパを送らせてもらうことにした。
 在日コリアンと日本人が一緒になって続けているボランティア活動の火が消えることのないように。

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