掲載新聞 1996年1月1日(月)東洋経済日報
1996年1月1日(月)東洋経済日報 偏見への怒り 愛に変えて
ボランティア 康秀峰さん


 在日コリアンと日本人の賛同者に支えられ二年前に設立されたコリアボランティア協会。設立当初は、役員、専従を合わせて六人からのスタートだったが、今や千三百人もの会員を誇る日本一のボランティア協会となった。同会の代表を務めている。
 「僕は六歳からボランティアしてたからね」。この言葉に驚いてしまうが、左足に障害を持って生まれた四歳年下の弟の世話をしていたと聞いて納得する。「違いを認められる世の中を作りたい」というのが信条だ。
 心身障害者に無償で介助ボランティアを派遣しているが、この“愛の奉仕”がコリアンのための団体と間違えられ、差別されたこともあった。難病患者の介護を依頼された時、相手の日本人から派遣ボランティアがコリアンなら断ると言われた。
 「人間のパワーには怒りか愛しかないねん。どんな差別と偏見がのしかかっても怒りを愛に変える、これがボランティアの修行と思うねん」
 しかし、そんな康さんも介護で何度か気絶したこともあり、刃物を持った人の横でも寝たこともある。「ボランティアは命がけやで」。人を一人、立ち直せるのはそう簡単なことではない。
 大阪市生野区コリアタウンの一角に事務所がある。「生野区でなかったらボランティアやってない」。生野区は高齢者、障害者が全国で一番多い町だという。「日本は先進国の中でボランティアが一番遅れている。そこを在日がカバーすると在日のイメージアップにもつながる」
 目下の悩みは、資金繰りである。専従職員の給料も月数万円しか支給できず、存在も危ぶまれている状態だ。同会では「法人化」の実現に向けて、企業の賛同を呼びかけている。

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