掲載新聞 2009年1月16日(金)産経新聞
2009年1月16日(金)産経新聞 「人のつながり」が原動力
コリアボランティア協会・鄭 炳熏さん(57)


 平成20年の大みそかの夜、神戸市長田区にある復興住宅の集会場から明るい歌声が響いていた。 ボランティア組織「コリアボランティア協会」(大阪市生野区)と、ここに住む被災者たちとの恒例の年越し交流会。 独り暮らしの高齢者を中心に、約30人が会場を出入りする。
 回を重ねるごとに当時の話は減った。かわりに被災者の成長した子や孫の話が増え、この会でお年し玉をもらっていた子供たちの結婚話も飛びかう。 「もうそんなに時間が流れたんやなあ」。在日韓国人で同協会代表代理の鄭炳熏(チョンビョンフン)さんは感慨深そうだ。
 「イベントを通じて人のつながりが生まれた。一度失われた地域のコミュニティーの復活が、心の復興につながると思う」
 14年前のあの日、西宮市内の鄭さんの自宅マンションは全壊し、妻の久保麗子さん(50)と寸断された道路を仲間のいる大阪を目指して歩き出した。 生野区内のビルを一室に書道家の康秀峰(カンスボン)さんを代表に協会を立ち上げ、ちょうど1年がたとうとしていた。
 翌朝、自転車に水や毛布を山積みにして被災地へと走り出した。その日から被災地での活動が始まった。各地の避難所を回りながら時には泊まり込んだ。 最も足を運んだのは約250世帯が入居した長田区内の仮設住宅。住人の孤立を防ぐために各世帯を回り、時には話し相手になり、病院に付き添った。 盆踊りを開き、自治会を立ち上げた。
 足を運ぶうちに増える被災者の笑顔。自分たちが訪れるだけで、被災者の希望になることに気付いた。いつしか住人の手によって、 仮設住宅の一室に「コリアボランティア協会出張所」の看板が揚げられてた。
 今でも月1回はスタッフとともに長田区を訪れ、当時苦しみを分かち合った住人たちと食事をし、酒を飲む。 「近所づきあいのようなこの人間関係はボクの宝物」人のつながりはすべての活動の原動力だと感じるんです
(八木択真)

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