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カンクン後の農業に関する声明
(ヴィア・カンペシーナ:農民の道)(翻訳協力 柳下恵子さん)
http://viacampesina.org/art_english.php3?id_article=286
小農民、家族農家、漁民および、その支援者は、米国/EUおよびG20の立場に対するオルタナティブ(代案)として、「人々の食糧主権」を提案する。
2003年9月、数々の劇的な光景が繰り広げられる中、WTO(世界貿易機関)の閣僚会議が崩壊した。望まない自由化や民営化政策の政府による押しつけを止めようとする運動を行っていた世界中の何百万人という人々は、メキシコのカンクンで行われていた交渉の突然の中止を自分たちの活動の勝利として喜んだ。
カンクンの民衆行動は、その最中に韓国の李京海(Lee Kyung Hae)さんという農民が自らの命を断ったこともあり、農民に対するWTOの破壊的な影響に世界の注目を集めた。
世界中、特にアフリカの農民、小農民、漁民の絶望的な状況は、早急な対策を必要としている。市民運動や各地の地域社会は、ネオ・リベラリル(新自由主義的)な経済政策を廃止し、その代わりに国民の真の、そして緊急なニーズに対応する政策をとるよう政府に呼びかけている。
輸出増大と企業のニーズを満たすことを重視する現在の自由化政策は、まさにそのような人々のニーズを脅かし、逆方向に作用している。このような政策は、暮らし、文化、地域固有の生産手法、食糧・種子・水・土地へのアクセスを破壊している。
しかしWTO交渉は、人々の暮らしのための日々の闘いに無関心である。
その交渉は、貿易の独占化を進めることや、農業やその他の分野の世界市場における輸出シェアの分捕り合戦なのである。貿易交渉者は、自国の大手輸出業者の国際市場へのアクセス増大と引き換えに、地域の食糧生産と消費、そして何百万人という農民の暮らしを犠牲にすることが受け入れられると考えている。
しかし世界中の市民運動は、彼らの声が聞き届けられ、彼らの提案が考慮されなければならないと主張している。
WTOは自由化促進のために存在し、貿易交渉者が重視しているのは自由化の速度と形態のみといっても過言ではない。
貿易交渉にあたる官僚たちは、自由化プロセスそのものに根本的な誤りがあり、商業には好都合であるが、家族や地域社会、小規模ビジネス、環境のニーズには逆効果であるということは全く考えないようである。
貿易担当官僚は、どのような代償があっても農業輸出を増やそうとしている。
しかし、この代償を見過ごすことは絶対できない。
代償は、各地の家族農家、小農民、漁民、農業労働者、食品産業労働者、消費者に対する破滅的な影響、そして輸出向けの集中的農業が導入された地域における深刻な環境悪化などである。
国内や地域の市場向けの生産よりも輸出向けの生産を優先することは、地域の食糧不足を招く。
そして、食糧、農業、漁業が、それらにとって非常に大切な社会的、文化的、環境的文脈から切り離されることになる。また、地域のニーズを中心に政策を発展させる政府の能力を弱めることになる。
大企業の貿易利益が勝るようになる。
カンクン会合ではEUや米国政府のアジェンダに反対した国々でさえ、究極的には輸出志向型農業を優先するような交渉を進めていた。
G21、SP(特別品目)とSSM(特別セーフガードメカニズム)同盟、APEC(アジア太平洋経済協力)、韓国率いる「多面的機能グループ」などを含む多様な南の国々のグループのすべては、この交渉を、カンクン閣僚会合のメキシコ人議長が提案したいわゆる「デルベス・テキスト」に基づいて継続しなければならないということを基本的に受け入れた。
この国々は閣僚会議中はこのテキストを拒絶していた。
このテキストは、世界の食糧と農業の貿易をすでに支配しているEUや米国を拠点とする企業の利害に一致するように作られている。
その上WTOのルールは、異なる分野をすべて結びつける「シングル・アンダーテイキング(一括受諾)」に農産品貿易を含めることを要求している。
これは、関税引き下げや先進国市場へのアクセス拡大などの約束(これらの約束は過去に破られている)をインセンティブとして利用することを許すものである。
そのため、そのような利益を得ようとする途上国は、その他の重要な分野(例えば、サービス市場や海外投資市場の自由化)で譲歩しなければならなくなる。このような「政治取引」を受け入れることはできない。
これは、食糧や食糧生産の権利を別の関係のない分野の利害に従属させるとともに、地域社会や地域の環境が別の分野との競争に敗れて損害をうける危険があるなど、複合的な悪影響を引き起こす。
各国政府は、農業分野の企業カルテルによる市場支配力の集中が強まっているという問題に取り組んでいない。
米国とEUは、WTOの交渉や二国間交渉、地域間交渉など、あらゆる機会を利用して他国の農業市場を狙い、農業関税のさらなる引き下げと市場アクセス拡大を得ようとしている。
この政策は、主要な農産品の価格を生産費用より下げることを狙いとしており、そうなれば小農民や家族農家は自分たちの土地から追い出されてしまう。
このような「略奪的価格設定」は、農民がもはや自分たちの地域の市場のための食糧生産もできなくなることを意味する。
多くの国、特に南の国々では、安価な労働力とゆるい社会的・環境的基準に基づいた工業的輸出志向型生産が、小農民による生産にとってかわってきている。
この態度は偽善的である。なぜならEUや米国は国内の政治的理由から、他の国には認めない方法を用いて自国の市場を保護しているからである。
その上EUや米国は、価格引き下げや農業生産者が受け取る最低価格の廃止など、自国の農業政策を大幅に変更している。
価格は生産にかかる実際の費用より57%も下がった。
同時に、これらの国々の大手生産者は、増えつづける国内農業補助金により守られている。これにより、EUや米国の大規模農家の農産物の余剰生産を許すことによって物価の循環的下降が延々と続くことになり、さらにその余剰農産物が低価格で世界市場に投売りされるために、農村の小農民や自営の家族農業を土台とする経済、特に南におけるそのような経済がさらに破壊されることになる。
この結果、北の国々では、すでに家族農業や小規模農業の大部分が姿を消している。残っている家族農家は、さらなる輸出を求められている。
しかし、農家の収入は減り続け、多くが破産している。
EUや米国は、(「デルベス」草案でも保持される「ボックス(緑・青の政策など)」やWTO制度の例外を用いて)自国の補助金は貿易を歪曲していないのでWTOのルールに違反していないと主張する。
しかし、それらの直接支援は主に大手生産者や輸出企業向けであり、それによりこれらの政府は大手生産者や輸出業者に競争力を与えているのであり、我々はこれらの国々が大手企業や最も豊かな国々の利益になるように貿易を歪曲していると主張する。
WTOの農業交渉は、少しも変化の見通しのないまま続いており、EUと米国による自分たちの貿易利益を守るための協力体制に支配されている。
EUと米国が提案する「ブレンド(blended)・フォーミュラ(混合方式)」は、これらの国々がダンピング促進のために国内支援を引き続き利用できるようにすると同時に、センシティブな分野を保護するための関税の利用を認めるものである。
同時にこの「ブレンド・フォーミュラ」は途上国の農業市場に大幅な関税切り下げを課すものである。
米国の「我々が言う通りにしろ、我々がすることはやるな」というアプローチは、彼らの交渉目標を見れば明らかである。
米国は例えば、カナダ小麦局(Canadian Wheat Board)のような公的貿易機関の「独占」力の削減を呼びかけておきながら、多くが米国に拠点を置く、もっと強力な、利潤によって動く多国籍アグリビジネス・カルテルの「独占」力を削減する重要な必要を認めない。
アグリビジネスにそのほとんどが投入されている米国農家法(US Farm Bill)による何十億ドルという国内助成、それに国内の制度的メカニズムの解体が加わり、米国のアグリビジネスは強化され、食糧市場はすっかり企業の支配下に置かれている。
G20(元G21)は米国とEUに対抗するためにとても必要な政治勢力ではあるが、主に南の国々の輸出利益を代弁しており、国内市場のために生産している大多数の農民や小農民の利害を守ろうとしない。その上、EUと米国の輸出農業支援を保護し、南の農業市場のさらなる自由化を求めるデルベス・テキストに抵抗するというG20の決意はすでに弱まっている。
事実G20は、これらの国々の輸出を基盤とする農業やアグリビジネスを支配する一握りの人々の利害を代弁している。
だから、G20も南北両方での「貿易を歪曲する」補助金廃止と市場へのアクセス拡大を要求している。
しかし、この要求が、実は、主な問題である輸出と企業利益を偏重することとなってしまっているということを認識していない。
G20の、EUと米国による農業交渉のための「枠組み」に対する抵抗は歓迎すべきものであるが、G20の農業貿易に対する全体的な立場は実行可能な代案ではない。自由化促進と市場へのアクセスの一般化は多国籍アグリビジネス・カルテルの支配力を強めるだけで、世界の何百万という人々の貧困と社会的疎外の問題は深まるばかりである。
一方、SP(特別品目)とSSM(特別セーフガード・メカニズム)同盟は、食糧安全保障と農村の暮らしを理由に、いくつかの品目について関税の保護を呼びかけている。
先進国は、これらの国々に対し、デルベス・テキストの「ブレンド・フォーミュラ」に同意すれば、そのような保護を与える(ただし極端に効力をそがれた形態、かつ関税切り下げを伴う)と示唆した。
今もこれらの国々は先進国の提案に抵抗しているが、二国間や多国間などの窓口を通じて大きな圧力を受け続けている。
結局のところ、WTOが支配する現在の貿易体制に対する途上国側からの異議申し立てはほとんどない。
ほとんどの国は、遠い海外市場に参入できるかできないか、というギャンブルに、国内市場と国内生産を賭けようとしている。
これは南北対立ではなく、取り組まなければならないのは、根本的な社会的対立なのである。
カンクン閣僚会議の準備のための話し合いは、解決しなければならない南北対立が中心にあるという印象を与えた。
この印象は、一方にEUと米国が代表する国々、その一方にG21の国々があるという形で明確な対立があったその後の交渉で、ますます動かしがたいものとなった。
しかし、食糧や農業、漁業、雇用、環境、資源へのアクセスに関する真の対立は、南北ではなく、富める者と貧しい者の対立である。それは農業生産と農村開発に関する異なるモデルの対立であり、この対立は北にも南にも存在するものである。それは、「中央集権的で企業によって進められる、輸出志向の工業的農業」対「分権化された、小農民や家族農家を基盤とした持続可能で、主に国内市場向けの生産」の対立なのである。
この闘い、つまりネオ・リベラル(新自由主義的)政策に対する市民運動の闘いは、国際貿易交渉の当事者には認識されていない。
家族農家と小農民を基盤とした国内向け生産は世界の食糧生産の約90%を担っており、そのうちの多くは市場を通ってさえいない。
その一方、国際的な農業貿易は世界の農業生産の約10%しか占めていない。
この貿易の利潤の大部分は、国際的な食糧・農業貿易と生産の連鎖を支配する大手生産者と多国籍アグリビジネス・カルテルの手に残る。
その上、輸出型の集中的農業は、その生産手法や、地域の地場作物と生物多様性の破壊、長距離輸送のせいで環境に多大な悪影響を及ぼす。
世界の食糧供給に対する小農民や家族農家を基盤とする農業の真の重要性を考えると、このような生産者が社会や経済から守られ、自国の国内市場への公平なアクセスが保障されることがきわめて重要である。
国際貿易政策は、国内市場の安定のために切実に必要とされている国内の農業政策と農村開発政策を破壊するのではなく、支援しなければならない。
現在の食糧と農業の危機に対する人に優しい真の対応策は、「人々の食糧主権(Peoples’
Food Sovereignty)」で示された枠組みの中にある。
この対策は、南北両方の小農民や土地なし農民、漁民、農業・食品産業労働者、環境保護活動家、その他大勢の人々が支持しており、食糧、農業、漁業の貿易に関連する根本的な問題のいくつかに解決方法を提供する。
「人々の食糧主権」は、現在の行き詰まりへのオルタナティブである。
より幅広い、地域および国家の経済開発の視点に立てば、貧困や飢餓、天然資源の持続可能な管理、輸出よりまず地域向けの生産に取り組む方がよっぽど重要である。
すべての国の人々は、自らの食糧、農業、農業政策に対する権利とそれらを規定する力、自分たちの国内市場を守る権利、小農民を基盤とする持続可能な生産を支援する公的助成を守る権利を有すべきであり、同時に、社会のすべての人々に対し、安全で経済的に入手可能な食糧を保障しなければならない。
これらの権利は、世界市民の政治的主権、民主主義、平和の希求の基礎である。
これを達成するためには、以下が不可欠である:
生産費用をカバーする安定した価格を保証するため、輸入をコントロールし、供給を管理する。
米国、欧州を含む世界中の農民は、生産費用を下回る市価に直面している。
供給を管理し、とくに輸出大国での余剰食糧の生産を防止することは、生産費用をカバーする水準に市価を安定させることに貢献する。
国際的には、産品に関する協定で世界市場への投入量を規制しなければならない。
食糧輸入をコントロールするための輸入割当量や価格拘束制度、輸入関税などの措置を各国政府が自由に適用できなければならない。
直接および間接の輸出補助金をやめること。
小農民や農民、漁民など助成金を最も必要とする人々に公的助成を向けること。
特に米国やEUなど先進国の農業輸出国のダンピングを支えるような公的助成の間違った利用は、農業分野におけるすべての公的助成の信用を落とす結果をもたらした。
しかし、留意しなければならないことは、公的な国内支援は、持続可能な、地域向けの食糧生産を刺激し、維持するために非常に重要だということである。我々は、一律にすべての助成の廃止を呼びかけるのではなく、小規模な食糧生産者や貧困者への支援と、企業農業の利益を促進するそれとの区別を呼びかける。
公的助成は、持続可能な農業や食糧生産、流通、そして社会的経済的公正を支えなければならない。
公的助成は、地域の生産者の能力を高め、食糧と必要な生活手段資源への貧困者の公平なアクセスを保障しなければならない。
同時に、価格引き下げとダンピング促進に役立つ直接および間接のあらゆる助成を特定し、禁止しなければならない。
工業的な持続不可能な農業や不公平な土地保有制度の促進に向けられている助成は、小農民を基盤とする持続可能な生産や統合的な農業改革事業へと、方向を変えなければならない。
供給管理は、生産過剰を回避し、価格を安定させ、国内生産に対する助成を認めるために必要不可欠である。
供給管理は、公的支援が過剰生産やダンピングにつながらないようにしなければならない。
また留意しなければならないのは、ほとんどの途上国は自国の農業生産者に助成できるような状況にはないということである。
そのような国々では、高い関税や非関税障壁で生産者を守り、少なくとも非間接的にでも生産者を守るような国内政策をとることがより重要である。
これらの国々に対し、その逆を求めて二国間や多国間の圧力をかけてはならない。
農民、そして消費者にとって公平な価格を!
農民や小作農民が受け取る金額を強制的に引き下げ、企業がより安く買えるようにすることで企業の利益を保証するようなメカニズムは止めなければならない。
小規模な生産者や流通業者のための最低価格の確立、供給管理と規制に、国内的にも国際的にも取り組まなければならない。
家族農家や小農民、農業や食品産業労働者を搾取し、環境を傷つけて利益を得ることは止めなければならない。
例えば、現在の農業や貿易政策は意図的に穀物価格を低く抑えるように考えられている。この安い穀物という政策は、企業が生産費用を下回る価格で飼料用穀物を調達できるようにするものであり、自営の家畜飼料業者や牧草を飼料としている家畜生産者に損害を与えるものであり、工業的動物工場への助成であることは弁解のしようがない。
最低収入と、貧しい消費者が国内市場の食糧を買うことができるように必要に応じて保障するための具体的な計画が実現されなければならない。
このような政策はインドのような国で過去に用いられていたが、世界銀行とIMFの圧力で廃止されている。
人々が自分の食糧を生産することを認めよ!
小農民の農業を破壊し、自営農家や小農民を貧しい小作農民、下請け農民や土地なし季節農業労働者に変えるのではなく、人々が自分たちの食糧を生産する権利と力を回復させよ。
持続可能かつ地域内の生産、加工、流通にもとづいた地域の食糧経済を開発し、振興しなければならない。
天然資源に対する権利を尊重せよ。
地域の伝統的資源についての意思決定をする法的および慣習的権利、土地・種子・水・信用・その他の生産に関する資源への公平なアクセスが地域社会に対して認められ、保障されなければならない。
農民が種子を交換し、再生産する権利をはじめとする、農民、先住民、地域社会の植物の遺伝的資源とそれに付随する知識は保護されなければならない。
知的所有権制度を通じた食と農業に関連するあらゆる形態の特許と知識の専有は禁止されなければならない。
食品と飼料の明瞭かつ正確なラベリング。製品は、生産方法や内容、食品の原産地に関する情報にアクセスする消費者と農民の権利にもとづかなければならない。透明性、説明責任、人権と環境基準の尊重を確保するために、すべての企業を拘束する規制が確立されなければならない。このような措置をとることにより、消費者の需要の増加と持続可能で社会的に公正な生産が食糧生産の連鎖に反映されるようになり、それにより、生産者の生産方法をより持続可能にしようとする生産者の努力が経済的に報われることになる。
国際的アグリビジネスを規制する必要がある。
すべての国は自国内の独占禁止法を見直し、増大する多国籍アグリビジネス・カルテルの市場支配力に対して効力が強まるよう、同法を強化しなければならない。
多国籍アグリビジネス・カルテルの市場支配力が急速に増大する中、国内の独占禁止法の効力の及ぶ範囲を確認し、より効果的な独占禁止法の運用のための新しく革新的な国際協力の方法を見つけるための国際会合を新たに開かなければならない。
このような国内および国際的な取り組みの目標は、市場支配力が多国籍アグリビジネス・カルテルに急激に集中している現在の潮流を逆転することと、略奪的価格設定や市場操作その他の競争抑止的慣習から家族農家や小農民を守ることでなければならない。
企業が環境法や社会法、国内法、国際法、国際条約を違反したとき、その企業法人や役員が法的な責任を負うようにしなければならない。
「人々の食糧主権」を実行することは、すべての人に対する真の、幅広い、包括的で持続可能な経済を生み出す!
「人々の食糧主権」は、WTOのような自由貿易体制下では実現不可能な目標を達成することができる。
WTOはすでに、生産、流通、消費に関する多様なモデルを促進できない機関であることを示している。WTOは小農民や漁民、労働者の緊急のニーズに対応できないが、それはそういう風に作られていないからである。
開発の促進に関して書き連ねられているWTOの序文とはうらはらに、同機関の中心的な役割は貿易メジャーが支持する貿易独占を支援することのように見える。この世界の大多数の人々にとって、導き出せるただ一つの論理的な結論は、WTOを食糧と農業から排除しなければならないということである。同様に、地域協定や二国間協定なども、持続可能な食糧・農業生産のための枠組みを提供することはできない。この大事な分野は、それらとは異なる国際的、地域的枠組みと、より予防対策的な国内政策を必要としているのである。
食糧と農業からのWTO排除は、世界銀行とIMF(国際通貨基金)の課す経済・規制体制にも及ぶ。WTO設立のずいぶん前から、IMFと世界銀行は南の国々に無差別で単一的な民営化、自由化、規制緩和事業を導入する急先鋒であった。
IMFと世界銀行は、自給自足の地域型農業システムの商業的かつ市場依存型の生産、流通システムへの移行を義務付ける政策をとっている。
その上、現在の輸出作物偏重は、土や水、大気、種の多様性、人間と動物の健康を脅かすような有害で費用のかかる化学物質投入への依存を高めるとともに、北に拠点を置く大手アグリビジネスと化学企業の利益を増やすように作用している。我々の農業を守るためには、世界銀行とIMFも食糧と農業から排除しなければならない。
我々は各国政府に対し、国内の食糧生産と流通を守るために必要な措置を講じてほしいという小農民、漁民、労働者、消費者、環境団体の要求に応じ、また、その措置は別の譲歩と引き換えにできるようなものではない基本的人権であると主張するよう、要請する。
我々は、FAO(国連食糧農業機関)、UNCTAD(国連貿易開発会議)、ILO(国際労働機関)などの国連機関に、農業や漁業に関する自らの役割について見直すよう要請する。
これらの機関は、食糧と農業のための新しい国際的枠組みの開発のために主導権を発揮しなければならない。
その枠組みは、食糧主権や独占禁止法の執行、農業労働者やその他の労働者の権利、持続可能な国内食糧生産と消費を中心に据え、国際貿易の役割と限界を明確に定義しなければならない。
食糧と食糧生産に関する小農民と消費者の法的権利もこの枠組みの中で明確に定義されなければならない。
そしてそのことは、食糧、農業、漁業政策に関する様々な懸念に統合的、包括的に取り組む「食糧主権条約」のような国際条約や、人々の利益の枠組みの下に貿易政策やWTOを置くことにつながらなければならない。
さらに、ダンピングや略奪的価格設定などの市場操作を防止するため、ICJ(国際司法裁判所)が管轄する独立した紛争解決メカニズムが確立されなければならない。
我々は市民団体や市民運動に対し、自らの地域で生産された食糧を持続可能な方法で生産し、流通し、消費するという合法的で基本的な権利を守ること、長続きする真の変化を起こすためにこの問題を国会議員や政府が取り上げるよう働きかけること、この大事な問題に幅広い人々が注目するよう活動を継続することを要請する。
以下、署名団体一覧
1.
Action, Research & Education Network of Aotearoa, New Zealand
2. Amigos
de la Tierra (CENSAT) - Colombia / Friends of the
Earth -Columbia
3.
Amigos de la Tierra (CESTA) - El Salvador / Friends of the
Earth -El
Salvador
4. Amigos de la Tierra (COECOCeiba) - Costa Rica / Friends of
the
Earth - Costa Rica
5. Amigos de la Tierra de America Latina y el
Caribe (ATALC) /Friends
of the Earth Latin America and the Caribbean
6.
Amigos de la Tierra - Paraguay / Friends of theEarth - Paraguay
7. Amigos de
la Tierra - Uruguay (REDES) / Friends of the Earth -
Uruguay
8. Amigos de
la Tierra - Argentina / Friends of the Earth -Argentina
9. Amigos de la
Tierra - Espana / Friends of the Earth - Spain
10. Asia Pacific Forum on
Women, Law and Development(APWLD)
11. Asia Pacific Network on Food
Sovereignty [APNFS], Philippines
12. Buendnis fuer Eine Welt /OeIE (Alliance
for One World), Austria
13. Canadian Council of professional Fish Harvesters
/Conseil canadien
des pecheurs professionnels, Canada
14. Center for
Encounter and active Non-Violence, Austria
15. Centro Internazionale
Crocevia, Italy
16. Comite para la Defensa y Desarrollo de la Flora y Fauna
del Golfo
de Fonseca (CODDEFFAGOLF), Honduras
17. Dachverband
entwicklungspolitischer Organisationen in
Karnten,Austria
18. Development
Fund, Norway
19. Dutch Arable Farmers Union, The Netherlands
20.
ETC-group
21. Focus on the Global South
22. Food First/Institute for Food
and Development Policy, USA
23. Global Food Security Group of Green Left, The
Netherlands
24. Green Line Association, Lebanon
25. IBON Foundation, The
Philippines
26. Initiative Colibri
27. Institute for Agriculture and Trade
Policy, USA
28. Institute for Global Justice (IGJ), Indonesia
29.
Integrated Rural Development Foundation [IRDF], Philippines
30. KEPA (Service
Centre for Development Cooperation), Finland
31. NAJK (Young Farmers The
Netherlands)
32. National Family Farm Coalition - NFFC, USA
33.
Oxfam-Wereldwinkels, Belgium
34. Pesticide Action Network Asia and the
Pacific
35. PKMP-SUMAPI [National Alliance of Peasant Movements in
the
Philippines]
36. Platform Earth, Farmer, Consumer (Platform ABC), The
Netherlands
37. Public Citizen, USA
38. Research Foundation for Science,
Technology and Ecology (RFSTE)
39. Small and Family Farms Alliance, UK
40.
Solidarity Fund X minus Y, The Netherlands
41. The Network for Consumer
Protection (The Network), Pakistan
42. Union Paysanne, Canada
43. Via
Campesina 44. Vredeseilanden, Belgium
45. World Forum of Fish Harvesters and
Fishworkers / Foro Mundial de
Pescadores y Trabajadores de la Pesca