民営化という大波
サラ・グラスキー
Multinational Monitor (September 2001)より訳出
| 目 次 コスト回収と民営化 水を得るための代償 水道民営化の圧力 水と民主主義を求めての闘い |
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二〇〇一年七月、世界銀行(以下、世銀)はガーナに対する11億ドルの新規構造調整ローンを決めた。しかし融資実行の前に、世銀はガーナ政府に対して七つの「優先されるべき行動」の実施を求めた。 「コストの全額回収」への努力は民営化への前提条件となる。民間企業は、システム管理費と利益が出るだけの料金設定でなければ、経営に乗り出さないからだ。 NACPの結成メンバーの1人アメンガ・エテゴ氏は、首都アクラの住民のほとんどが米ドル1ドル未満の賃金しか得ることが出来ず、その多くが安定した雇用を保障されていない、と話す。4月、バケツ一杯の水の価格が以前は平均400セディだったのが800セディ(米1ドルが7000セディ相当)まで値上がりした。 「どうやって水の民営化にともなう「市場」価格を払うことができるでしょうか? 安全な水への市民のアクセスが難しくなるにつれ、不潔な水などから起こる病気などが増えることになるでしょう。」 |
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コスト回収と民営化このガーナのケースは、上下水道の使用者負担を増加し、水道事業を民営化するという世界銀行・IMF政策の代表的な事例である。世銀は、途上国政府のような貧しく、債務を抱えた国は上下水道事業をできない、としている。世銀の構造調整ローンや上下水道へのローンはコストの全額回収や水供給の「経済的な価格設定」を要求している。 この要求では、水供給にかかる全コスト(管理運営費、資本投下、これまでの設備投資分の負債)を消費者の使用料金でまかなうべきだということになる。しかしこのやり方だと、消費者の負担が重くなり、貧しい人々や社会的弱者にとって安全な水は手の届かないものになってしまう。 水の費用が高くなると、女性や子どもへの影響が大きい。家事の担い手である彼女らは、もっと遠くまで行き、もっとたくさん働かなければ水を得ることができなくなる。しかも多くの場合、その水も汚染された川から汲んでくる。こうして家族は、水か食べ物、学校、健康のどれかをあきらめざるをえなくなる。 世銀・IMFは、投資者たちにとって安定した高利益の市場にするために、水のコスト増加を要求しているのである。多くの国で、世銀の官僚たちは公営の水道事業はコストがかかりすぎ、効率的でない。しかし、それを民営化すると途上国政府のかかえる債務を払うための資産となるとしている。 「効率的な水管理のためには水を商品としてあつかうことが必要」と世銀側はウェブサイトで発表し、「水道や下水道の民営化は、高利益、サービス向上、サービス拡大のための素早い投資を生み出す」と説明している。 構造調整ローンや水道・下水道ローンを受け取るためには、民営化(「国際業者」とのサービス契約、管理契約を含む)などのコンディション(条件)を受け入れなければならない。水道に携わる多国籍企業はかなり限定されており、フランスのビバンディ社、スエズ・ボウイェーズ社、テキサスのエンロン社などが挙げられる。ガーナの水道事業に応札している五社のうち、二社(スエズ・ボウイェーズ社とサウール社)の年間売上高だけでガーナの1999年のGDPをはるかに上回っている。 |
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水を得るための代償
世銀はコスト回収と民営化を進めれば、より多くの人が清潔な水や衛生的な下水道へのアクセスできるようになると言う。「公的サービスが失敗したので、世銀が民営化を助けている」と世銀は都市の上下水道に関する政策ペーパーで述べている。「私たちは途上国の調整システムを助け、アドバイスをすることで彼らが公正な取引を行い、投資家と消費者双方の利益になり、本当に困っている人たちのニーズに応えるように考えている。」 |
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水道民営化の圧力
水の民営化についていかに疑問があがろうとも、世銀とIMFはこのプランを推し進めようとしている。
IMF、世銀、そして途上国政府側も公的に話し合いの内容を発表することはない。ローンの合意ができ、サインもすみ、IMF理事会が承認すると、はじめてIMFのウェブサイトに「実施文書(LOI)」という形で発表される。
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水と民主主義を求めての闘い水の民営化をめぐって多くの国で人々が闘いはじめている。ボリビア政府は1999年、世銀によって求められた構造調整プログラムに含まれる水の民営化をコチャバンバ市で行うことをみとめた。政府は、イタリアのInternational Water Limited 社とアメリカのBechtel
社が主導する企業コンソーシアムに、水道事業を40年間任せることを許した。 何週間にもわたる激しい抵抗の末、2000年の4月、La Coordinadora は、民営化の契約を破棄させ、水道事業を地域の管理下に置くことに勝利した。La
Coordinadora は世界で初めて、水の民営化に対する抵抗が実を結んだ実例である。 「国は自分で水の確保や衛生に対する解決法を見つけだし、公共部門でそれを実施しなければならない」
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