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● タイ  農業用水

アジア開発銀行の資金提供によるタイの農業セクターのプログラムローン

1部:プログラムの背景

★プロジェクトの概要

この農業セクタープログラムローン(THA:32421-01)は、以下の方法によるタイの農業セクターの改革を提案している。
(1) 水資源の持続可能なマネージメントの促進
(2) 土地の利用と管理の改善
(3) 有効な地域への財政サービスの提供
(4) 農業に関する研究の強化
(5) 現在の農業拡張システム、情報ネットワークを再編し、農民に教育を提供する
(6) 農業へのインプットにおける政府の助成金を減らす
(7) より顧客志向のアプローチを実現するための農業組合省(MOAC)の再編

言い換えると、ローンは、セクターを自由化し、政府の農民への助成を取り除き、水の使用料の賦課、MOACの組合化を通して、農業における市場構造を強化することを目的としている。

★プロジェクトの総費用  6億米ドル
★ ローン額/ 融資
   アジア開発銀行(ADB)    3億米ドル
   日本国際協力銀行(JBIC)   3億米ドル
★ 環境アセスメントカテゴリー
   カテゴリーB


問題の概要

小規模農民の周辺化と不平等の助長
ローンは、水の使用料の賦課を伴うため、農民たちが強く抵抗している。
タイ政府とADBは、資源は無料であれば、賢明かつ効果的には使用されず、水の使用料は有効な水の利用を保証するために必要であると考えている。
しかし、農業のインプットへの政府の助成金を取り除くことと、水の使用料の導入は、小規模農民に最も影響し、彼らは深刻な負の影響に直面するであろう。
政府からもはやどのような援助も受けられないことにすでに不満を募らせている農民グループは、借金を抱えるようになっている。
北タイの農民、ワスト・カジョンクラン(Wast Kajongklang)は、
「我々が払わなければならない投資の新しいコストは、我々を葬り去ってしまい、我々はより深刻な借金状態に陥るだろう。なぜ政府は、我々を助けようとしないのか?なぜ彼らは我々からより多くの金銭を集めなければならないのか?」と述べている。

水使用料のシステムのもとでは、作物のためにより多くの水とインプットを必要とするけれども経営の規模の大きさに利点を持つ大規模な産業的プランテーションよりも、小規模農民は不利な立場にたつ。
さらに、乾季には小規模農業は、優先順位が低く、水を大きな村や町が優先して使用できるようにするために、種をまくことを止めることが要求されるのである。

水の利用における地域の農民の知恵が損なわれる
提案されたプログラムは、農民たちを資源の不経済な使用者であると仮定することによって、水の使用における地域の農民が持つ知恵を損なう。
実際に、地域の農民は、水の有効かつ持続可能な使用を実行しているのである。農民は、池、清潔な用水路、堰を維持し、自らの水の平等な分配を促進するために、協働していく彼ら独自の方法を持っているのである。
水資源のマネージメントについて地域に即した他の解決方法を見つける代わりに、効率性を促進するために安易に水の使用料を賦課するという政府のやり方は、地域の人々の知恵への認識を欠いている。

誠実なコンサルテーションとプロジェクトの受益者の参加の欠如
ローンが承認されて一年を経過したが、農民は自分たちが抵抗しているにもかかわらず、なぜタイ政府、ADB、JBICがローンの計画を継続し続けるのかを問い続けている。
農民は、過去において常に持続可能な方法で水源を維持し、分配する方法を持っていたので、水の使用料を払うことは不公平であると感じている。
このように、彼らは「誰が本当にこのローンから利益を得るのか?」という疑問を抱いているのである。
 興味深いことに、ローンの中で出されている条件の一つは、農業計画におけるコミュニティの参加の強化である。
しかし、明らかにタイ政府は、このローンの条件を満たすことに熱心ではない。
農民の抵抗があり、真のコミュニティ参加の保証することに政府が不適切に対応しているにもかかわらず、2001年6月には、プログラムの完了を予定し、ローンの貸出は続けられている。

プログラムローンの生態的かつ経済的な持続可能性への疑問
プログラムは、初期的な環境審査(IEE)のみを必要とする環境カテゴリーBのプロジェクトと分類されているが、生態的また経済的な持続可能性にいくらかの影響を及ぼすと思われる。
例えば農民は、ローンはコミュニティベースの持続可能な農業の破壊を導き、大規模な単一作物の栽培、高収量、多投入による生産、そして遺伝子組み替え品種の導入などへの道を開くであろうと考えている。
 この改革プログラムは、水の使用料の賦課は有効な資源の利用を促進し、経済的な生産を後押しするであろうという仮定のもとに働いていると考えられる。
しかし、農民グループは反対に、水はタイの農場の生産性の唯一の決定要素ではないと主張する。
タイの農民は単位土地当たりの生産高は、アメリカや日本の農民よりも少ないが、タイの農場は、公式の経済的生産には組み込まれていない、地域で消費される他の生産品(例えば小さな養殖場や他の副次的作物)も産出している。
しかし、これらの日用品は、水の使用料の賦課によって不利な影響を受けるであろう。


2部:2000年11月現在のプロジェクトの状態
プロジェクトの状態
 ADBは、影響を受ける農民たちの強力な抵抗にもかかわらず、1999年9月23日にローンを承認した。
それは現在、履行の過程にあり、2001年6月にプロジェクトの完了が予定されている。
ローンの条件を満たすために、ADBは水資源マネージメントと農業的組織の再編成のための2つの技術支援の助言のための補助金(TAs)を考えている。
農業戦略と政策開発プロジェクト(The Agriculture Strategy and Policy Development)として知られている25万米ドルに相当する1つのTAが、現在のところ具体化の段階にある。
関心を持つタイ市民社会の組織は、地域の農業コミュニティのさらなる周辺化を導く農業政策を容易にする可能性のあるこのTAを注意深く見つめることが必要である。


★ 参考資料
1. ADB Report and Recommendation of the President to the Board of Directors on a Proposed Loan and Technical Assistance Grants to the Kingdom of Thailand for the Agriculture Sector Program, August 1999.
2. ADB Project Profile: Agriculture Sector Program Loan (Loan: THA 32421-01), variable at http://www.adb.org/Documents/Prifiles/LOAN/32421013.ASP
3. ADB Project Profile:
Agriculture Sector Strategy and Policy Development Project (AOTA: THA 34179-01),
available at http://www.adb.org/Documents/ADBBO/AOTA/34179012.ASP
4. ADB President Tadao Chino's Reply to the NGO-COD which includes his reply to the issues surrounding the Agriculture Sector Program Loan, dated 19 June 2000.

2000年11月22日 (銀行インフォメーションセンター(BIC):プロジェクト報告書9より訳出)

銀行インフォメーションセンター(Bank Information Center)
733 15th Street NW, Suite 1126
Washington, D.C. 20005
Email: info@biusa.org
Website: http://www.biusa.org

 国際協力銀行からの情報としては、http://www.jbic.go.jp/japanese/release/oecf/1999/0929-j.php に情報がある。