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水の自由化・民営化 海外での事例・世界の動き
〜ブルーゴールド (モード・バーロー著)より〜
報告者 AMネット 武田かおり
【記事は、2001年11月より連載の水道産業新聞「世界の水道民営化最前線」より一部抜粋 オンデオデグレモン社 社員の個人見解】
【ページ数はブルーゴールドの掲載ページ】
<目次>
水の主要な多国籍企業って?
自由化・民営化で市民が受けた海外での事例
途上国では
水質に関する情報を手に入れる権利
ハイテク産業
パイプライン計画
将来水のOPEC(石油輸出機構)になる?
水の大量輸出は経済的に採算があうの?
多くの国には、自国の推計に関する法律や規制がない
NAFTAの問題
WTOの問題
水利権
水の主要な多国籍企業って? P36〜
仏系多国籍企業2社(ヴィヴェンディSA社の水資源部門ジェネラル・デゾー社とスエズ・リヨネーズ・デゾー社)で、5大陸約120カ国の水関連会社を所有あるいは管理、約一億人の水供給を支配している。
<記事>世界第3位になったドイツのRWE社で、供給人口5500万人、年間売上高34億ドル。2001年11月現在で60億人のうち4億人が、民間による上下水道サービスを受けており、2015年には10億人に達するものと予想されている。
<民営化の形態>no.3
「アウトソーシング」
処理場やメンテナンスなど汎用性のある業務を外部委託することで、事務部門のコスト削減、2〜3年契約。一般に民営化というときはこの形態は含まれない。
「O&M(オペレーション&マネジメント)契約」
5年程度の契約期間で水道事業を一括して民間企業に委託する。インフラは公共部門にとどまり、民間企業は固定又は業績に連動した委託料を公共部門から受け取る。民営化への準備段階への使用多。
「リース契約」
10〜15年の期間中インフラは公共部門から業務を委託される民間企業にリースされ、水道料金でまかなう。フランスやスペインで広く用いられている。新規資本投資が少ない場合は適している。
「コンセッション契約」BOT方式。
25〜30年契約、インフラのリース、修理や改善責任も民間企業に譲渡する。水道料金でまかなう。
「完全民営化」BOO方式。
水道事業体は民間企業に完全に売却される。公共部門は水道料金・サービス水準などにかかわる規制業務のみになる。アメリカの一部で見られる。
自由化・民営化で市民が受けた海外での事例 P38〜
・アメリカ
市の節水プログラムで市民は30%の水使用を減らす事を余儀なくされたが、インテル社にはそれと同じ量だけ使用量を増やす事が許可された。地元アメリカ先住民プエブロ族で伝統的なアセキアと呼ばれる農業用水の協働利用システムが、巨大ハイテク企業の為に意図的に崩壊させられつつある。
・フランス
利用者の負担が150%増加。政府発表では民営化以後に500万人以上の飲み水が汚染されたという。
同国の大手水資源企業2社に関し、経営者が汚職に関与しているとの告発があり、裁判所が過去10年にわたり調査を行っている。
・英イングランド地方
水が民営化されてから6年間で水供給会社の利益が692%増加している一方、利用者の料金は109%値上がりした。例として、ノースウエスト・ウォーター社の最高金額の重役の給与は708%上がった。
値上がりの結果、上水道を解約した利用者の数は民営化以後50%増加、イギリス医療協会は人々の健康を脅かしていると警告している。
・シドニー
水道料金は4年間で2倍に上がった。高レベルのジアルディア属とクリプトスポリジウム属の寄生虫が含まれていたが、住民側には知らされなかった。
<記事>「クリプト汚染から民営化の是非の論争があったが、多国籍企業の技術力と経験は原因究明に大きく貢献し、原水の汚染を減少させるべく公共部門の組織改正が行われることになった」水質良。技術蓄積少ない。
途上国では P39〜
企業は利益追求を目的とする存在であり、貧しい人々に水を供給するという公共サービスを肩代わりする動機がない。
・フィリピン マニラ
世界銀行によって、ベクテル社とスエズ・リヨネーズ・デゾー社の地域に分けられ、低料金を維持すると公言していたが、数ヶ月後アジア通貨危機による減収を補うため大幅値上げされた。
<記事>「民営化直前に比べると4〜7割料金は低下した。アジア通貨危機と渇水の影響で財務内容が一気に悪化、予定されていたプロジェクトは滞っている。」
<記事>「マレーシア 競争入札もなく、密室の中で随意契約の形で行われ、国民の不信感が高まった。結局、料金収入の不足により大幅な赤字に陥り、再国有化された。」
・南アフリカ
バイウォーター社の劣悪な水管理や、英がイギリスの援助と引き換えに、南アに武器購入を迫った事件の関与についてインターネットで批判した、労働運動家を提訴すると脅した。
<以下二つは自由化の影響かどうかは不明>
・インド 一部家庭では全ての収入の25%を水に支払っている。
・ペルーのリマ市 貧しい家庭は1立方メートルあたり3ドルも腹って水行商人から水を買い、多くは不衛生な水である。富裕層は処理の行き届いた自治体の公共上水道の水を30セントで利用している。
水質に関する情報を手に入れる権利を失う事が多い P39〜
カナダ オンタリオ州 情報公開法の適用範囲から除外すると州政府が発表。
ハイテク産業 P41〜
地域の水資源を巡って巨大ハイテク企業と地域の社会的に弱い立場の人々との争いが頻発している。
水を大量に必要とし、巨額の資金を持っていることから、水の商業価値を引き上げてしまった。大量に需要があるだけではなく、地下水汚染などの影響も大きい。
・ ハイテク産業が集中している地域の多くで、帯水層の枯渇が同時に起きているということは、地域の水資源では産業用水の需要に応じ切れていないことは明らかである。
・ 企業は新たな水資源を求めて国内だけではなく、遠くの外国に目を向けており、世界規模の貿易による水供給が有望視されている。
・ ハイテク企業が水利権を手に入れるために「ウォータープライシング」というやり方で、政府に圧力をかけて補助金を引き出し、さらに公共水道を経由せず直接取水する方法を取っている。この方法により住民よりもはるかに低料金で水を利用している。
水道料金の割引・水の運搬や処理に関するインフラへの補助、そして、産業部門による水の大量使用を優先させる事で低所得者層の水利用が制限される。(P68)
各国は新しい経済秩序の至上命題である競争力維持の為に、法人税を下げ、環境規制を緩和している。
パイプライン計画 P46〜
オーストリアのアルプス山脈からの湧き水がパイプラインを通じてウィーンに輸送されており、他国へ輸出網を広げる提案もある。
欧州委員会の計画が実現すればアルプス山脈から10年以内にスペイン・ギリシアに引かれるだろう。
実現すれば、アルプスの複雑な生態系に与える影響は?
カナダから米国、アジア、中東などの水の不足している地域にタンカーやパイプラインで大量に水を輸出する計画を数社が参加している。
将来水のOPEC(石油輸出機構)になる? P54〜
大量の水資源を有する25カ国によって2006年調印予定の世界水資源輸出条約の加盟国はOPECをモデルに世界の水供給のカルテルを形成し価格を釣り上げようとするだろう。
(カルテルとは、同種の商品を生産する企業が互いに価格や生産、出荷量を協定して競争を避け、利潤を確保しようとするもの。独禁法で日本では原則として禁止されている)
水の大量輸出は経済的に採算があわないのでは? P58〜
世界銀行は「世界中の低価格で利用できる水源は全て利用されつくされており、この先どのような開発方法をとっても、新しい水源確保にかかる経済コストはこれまでの開発コストの2〜3倍になる。そして、どんなに高くなっても需要がなくなることはない」と指摘している。
既にカリフォルニア州では21世紀中に水危機に直面する。台湾や韓国では重工業の急成長によって国内の水源がひどく汚染され、水道水を飲用にする事は不可能になってきている。(P56)
経済のグローバル化が進んでいる事を考え合わせれば、国境を越えた大規模な水輸送が経済的に採算が合わないはずがない。
また、産業界やアグリビジネスに対する巨額の政府補助金が近い将来,全廃されるとは考えられない。
水を大量使用する多国籍企業は、投資や生産について決定する前に現地政府が水供給を確保し、それに補助金をつけることを期待しているのである。(P60)
多くの国には、自国の推計に関する法律や規制がほとんどない。 (P75)
大多数の政府は、水資源の民営化や商業化、貿易という自体に対応する事もできない。
各国政府は水資源保護の為の規制作りはそっちのけで、国内法を上回る権限を持つ国際貿易・投資協定については積極的に交渉し、署名している。これらの協定には水の貿易に関する条項も含まれており、水に対する企業の権利を明確に定めている協定もある。最近の例はカナダ米国メキシコ間でのNAFTAである。
NAFTAの問題 (P79〜)
「内国民待遇」
各国が水資源の商業利用に対して国内企業を優遇する事が禁止される
「投資対国家」
将来見込まれる利益が損なわれたと考えられる場合、進出企業が現地政府を相手取って訴訟を起こす権利が与えられる。
「プローポーショナリティ」
一旦輸出の流れができたら、その品目の輸出量を削減したり制限することを禁止するルール
つまり、NAFTA加盟国の間で水の貿易が始まれば、たとえ水の大規模輸送が環境に害を及ぼすという事実が新たに判明しても後戻りできない、ということである。
今後は?南北アメリカ大陸の全ての国々を含むFTAA(米州自由貿易圏)に拡大されようとしている。
WTOの問題 (P84〜)
WTOの適応分野には水資源も含まれている。
「投資家が国家を提訴する権利」はまだWTOには含まれていないが、WTOが貿易障壁とみなす国内措置を撤廃させる力を持っている。
(国の法制度、政策、計画に変更を迫る立法権と司法権の両方を兼ね備えている)
特に第4条の「どのような目的の措置であっても輸出規制や輸出数量制限を一切禁じている」と言う条項が水資源に一番の悪影響をもたらすであろうと思われる。
過去にも自国の資源を守ろうとする国家の権利が侵害されたケースがある。
第1条には「最恵国待遇」第3条では「内国民待遇」が規定されており、全ても加盟国に対し製品が環境に配慮した方法で製造されたかどうかにかかわらず、全ての類似の輸入品を国内で全く同等に扱うように要求しており、環境破壊が判明しても環境保全を目的に貿易制限を行うことは許されない。
水の国際貿易が産業界の主題となれば、必ずWTOは水貿易の推進母体となるだろう。(兆候は多数ある)
水利権
日本では売買が認められていない事から問題が多く発生しているが、認められているところでは?
「ニューメキシコ州では利用可能な水は全て割り当てられており、ハイテク企業の工場が新設できるかどうかは既存の水利権を購入できるかどうかにかかっている」P43
「カリフォルニア州では、水利権の売買が巨大ビジネスになりつつある」(P69)
<実例として>(P71〜)
・ USフィルターコープ社、ネバダ州の大牧場と農業用水を買収、パイプラインで市内に送り売却しようという試み。
・ サムダ社、牧場から井戸水をくみ上げパイプラインでロサンゼルスに運ぶ計画。
・ ストック万・ウォーター社、サンルイ渓谷の水をくみ上げ、コロラド州デンバー市内へ流す計画に対しカリフォルニア州バーカー市当局から許可を得ている。
このように、大きな購買力のある大都市や大企業が水の価格を押し上げ、農民や小都市、先住民を市場からはじき出す事は可能である。
飲料水企業は農家から水利権を買い取りタンカーで輸送する水貿易に従事している。企業は世界中の農村地域に乗り込み、井戸を得る為に農地を買い上げ、水源が枯渇したら他に移動する、と言う事を繰りかえしている。その土地だけではなく、地域全体の水源を枯渇させてしまうこともある。(P60〜)
カリフォルニア サクラメント渓谷
大規模子業態が膨大な量の水を自由に取水し価格が売り時になるまで「干ばつ対策水銀行」に貯水し、莫大な利益を得て立ち去った。その後農民たちが使用する井戸が涸れ、地下水面が大幅に下がり一部地盤沈下が生じた。(P70〜)
途上国では?
チリでは水関連企業は農民から水利権を買い上げ、その水を都市部に売っている。水の売買が無秩序に行われた場合、貧しい人々に対する水の値段を吊り上げるのに用いられうるし、実際起きている。大企業がこのような取引に参入した場合には、水利権をまとめ買いしてその地域の水資源を枯渇させ、立ち去ってしまうのが通例である。(P69)